「すべての悩みは、対人関係の課題である」
この言葉は、アドラー心理学の根底に流れる概念です。
人生には大きく分けて3つの課題に取り組む必要があるとアドラーは言っています。
1つ目は、「仕事」。
2つ目は、「交友関係」。
3つ目に、恋愛や結婚などの「愛」です。
この3つの課題を見て共通するものは、すべて「人と人との結びつき」に関するものだということです。
究極論、自分以外の他人無くして、この3つの課題は存在しないのではないでしょうか。
「でも、すべて対人関係の悩みだなんて極端すぎるのでは。」
そう思いましたか?
実は、あなたの悩みは、「対人関係での悩み」として捉えていったほうが
解決は意外と近道だったりするのです。
それほど私たちが切っても切り離せない、人生のテーマである「対人関係」。
今回はこの「対人関係」というテーマでお伝えしていきます。
悩みの大半は対人関係の悩みである?!
考えてみてください。
もし、この世界から対人関係がなくなれば、宇宙のなかに、たったあなたひとりで生きることになります。
他者がいなくなれば、悩みの大半は消えてしまうのではないでしょうか。
他者がいなければ、例えば、恋愛で傷つくことも悩むことも、また「そろそろ良い歳だから結婚しなきゃ・・」だなんて悩むこともない。
可愛くていつも幸せそうな友人と自分を比べて悩むことはないし、隣の仲良しな家族と自分の家族を比べて、悲しくなることもない。
仕事で、あの上司が嫌だなと悩むことはないし、業績や、出世を気にしたりすることもない。
このように、悩みの大半は、対人関係であることがお分かりになりませんか?
そして、対人関係の悩みには、根底に「他者との比較」があるのです。
先程挙げた様々な悩みというのはすべて、今の”自分と他者を比較”していて、その上で悩んだり、悲しくなったりするもの。
この”他者との比較”ということこそが、”対人関係の悩み”であると言えます。
対人関係ストレスチェック
では次に、あなたが今「対人関係」でどれだけストレスを受けているかチェックをしてみましょう。
《以下のチェック項目で、当てはまるものを数えてください》
✔︎. 今の職場の雰囲気は良くないほうだ。
✔︎. 人に対して攻撃的になることが多い。また、ひがみっぽいほうだ。
✔︎. なんでも気兼ねなく話せる友人がいない。
✔︎. 自分のことが基本的に嫌いだ。
✔︎. 初対面の人には緊張してあまり話すことが出来ない。
✔︎. 常に心配が耐えることがなく、つらい思いをしている。
✔︎. 急な予定変更など臨機応変に対応できない。
✔︎. 人からいじめられやすいタイプだと思う。
✔︎. こまめに人と連絡を取るのが苦だ。
✔︎. 人と会ったり、にぎやかなところに行くのが苦手。
✔︎. 人から好かれたいという思いが非常に強い。
✔︎. 他人からの批判に極度に敏感で、気になって仕方がない。また、批判されたり誤解されたりすると、自分の殻に引きこもってしまう。
8個以上当てはまった方は、「対人関係」でかなりストレスを受けている可能性が高いと言えるでしょう。
対人関係の悩みベスト3
対人関係の悩みは、日頃の小さなストレスの積み重ねから生じます。
そして、その悩みの種は様々。
男女や、年代別でも順位は変わってきますが、全体で比較的に多いものをジャンル別で順位にしてみました。
3位:友人関係・恋人、夫婦関係
プライベートにおいて、ここの関係性はやはり切り離せないジャンルですね。
プライベートという、自分が素になれる居場所であり、人生の楽しみというものにも大きく関わってくる、友人や、恋人、夫婦関係。
そのジャンルでの悩みを、ここは男女別で挙げてみました。
【男性が「友人」に対しストレスを感じる瞬間は、以下が挙げられます】
・環境が異なり、価値観が合わなくなること
・自分と異なる相手の生活を羨ましく思ったとき
…など
男性の場合は、特に相手に合わせて話しをすることに気疲れしてしまうのでしょう。
【女性が「友人」に対しストレスを感じる瞬間は、以下が挙げられます】
・優位性を誇示してくること(マウンティング)
・何かにつけ詮索してくること
・メッセージに返信しないと、友人から感情的に怒ったりすねられたりするとき
…など
女性の場合は、一度つるむと、同じ人やグループで行動する傾向にあることから
結果、関係性が保たれないと仲間外れのような感じになったりして、悩みが生じることが多いようです。
次に【男性が「恋人・夫婦」に対してストレスを感じる瞬間は、以下が挙げられます】
・恋人や妻が体型を気にしなくなるなどで魅力を感じなくなり、一緒にいることにストレスを感じる
・子供に対する教育方針の違いでストレスを感じる
…など
男性の中にある、相手への「こうあってほしい」という理想像から、相手がかけ離れるとストレスを感じることがあるようです。
また、相手との価値観のずれもまたストレスと感じるようです。
【女性が「恋人・夫婦」に対してストレスを感じる瞬間は、以下が挙げられます】
・ネガティブ発言が多い
・すべて論理的に話してくる。共感してくれない
・育児・家事に対し、当事者意識がない
・相手(男性側)が、世話をやってもらって当たり前の態度をしてくること
・指示しないと動かない
…など
「恋人・夫婦」の関係性に関しては、男性よりも、女性のほうが相手に対してストレスを感じる瞬間が多いようです。
好きで付き合ったはずの恋人関係でも、相手にすべての主導権がありがちなカップルだったりすると、
相手に言いたいことなどが言えず、我慢してストレスが溜まってしまうなど。
またちょっとした価値観の相違などでもストレスを感じやすい人も多く、そこから喧嘩が起きたり、結果的に別れを引き起こしてしまったりします。
また夫婦関係では、金銭感覚をはじめとした、さまざまな生活習慣など合わない点がストレスの原因として挙げられてきます。
また同時に、夫婦になると相手の義親との関係性も生まれてきますが
ここでもストレスを感じる人が多いようです。
夫である配偶者や、その義親は、自分とは育った環境が違う他人です。
なのでどうしても「生活様式とのズレ」がストレスの根本となり、悩みを生じてしまうのでしょう。
2位:家族関係
男女関係なく、家族に対しての不満がある人は多いようです。
この家族関係は、夫や義親との関係も、もちろん入ってきますが
ここでは「肉親である、自分の親」との関係性でストレスを感じる瞬間を挙げてみます。
・過大に期待されて辛い
・過度に干渉される
・価値観を押し付けてくる
・両親が立派な経歴を持ちすぎていて、劣等感を感じる
・介護問題
…など
親が子供の人生に過干渉である場合、子どもが人生を自分の意志で進められなくなります。
また、20代、30代と歳を重ねるにつれ、家庭を持つようになると考え方が変わることもあり
その際に生じた「自分の親の考えとのギャップ」で、ストレスを生むきっかけともなるようです。
親との関係性で大きく人生を左右されている場合は、「毒親」である可能性も大いにあります。
詳しくは、他記事の「毒親について」を読んでみてください。
1位:仕事関係
男女共に、堂々の1位が、やはり仕事場での人間関係でした。
男性が、中でも最もストレスを感じる相手として挙げられているのが「上司」。
3人に1人以上が上司に対しストレスを感じている統計も出ており
男性のほとんどが、上司に対して「苦手意識」を持ちながら仕事をしていることが分かります。
男性社会は特に、縦社会が当たり前という概念が根強いため
学生時代も、社会人においても、上に立つ人を尊重し敬わなければいけないという暗黙のルールがあったりします。
そのため上司は、部下に対し当たりが強かったり厳しく教育するという風潮があり、部下である男性はストレスを溜め込んでしまうのです。
女性の場合は、最もストレスを感じる相手として挙げられているのが「同僚」でした。
「同僚」にストレスを感じる瞬間は、以下のような人に対してだそうです。
・自己中心的な人
・嫌な仕事を人に押しつけてくる人
・周囲に不快感を与えているのに気にしてない人
…など
女性は、仕事場において自分と同レベルで働く人間の行動に、かなり敏感であることが伺えますね。
やはり女性の本能的に、協調性を大切にすることを持ち合わせているので
それを害してくるような人にストレスを感じてしまう人は多いようです。
対人関係の悩みの原因
①承認欲求が人生のベースになっている
承認欲求とは、”他者から認めてもらいたい”という欲求のこと。
この承認欲求を優先させていると人生の全てを、他者から認めてもらうためだけに過ごすものとなってしまいます。
つまり、「他人軸」で生きていることになってしまいます。
私たち人間は、親や、友人、恋人、仕事場の上司などから認めてもらうために、そして、その人たちの期待を満たすために生きているのではありません。
いつも「他人」という視点で行動し、「他人」のために生きていると「自分らしい生き方」ができなくなり、「幸せ」とは程遠い生き方になってしまいます。
幸せの起点は、「他人」ではなく、「自分」であることを間違えてはいけません。
②競争意識をベースにしている
次に、あらゆる対人関係に対して、「競争意識」を持ち込んでしまうこともまた悩みの原因とされています。
対人関係の軸に、「競争意識」を持ち込んでしまうことにより,すべての他人を敵と見なすようになってしまい気付いた時には周りは敵だらけという状態を、自ら作ってしまうのです。
例えば、職場の同僚に対して常に競争意識を持つことで、同僚の成績や言動に一喜一憂してしまったり、すべての基準が同僚になってしまう。
また友人に対しても競争意識を持ってしまうことで、友人の容姿だったりライフスタイルを自分と比べ、「自分は、友人のここよりは優れている。ここの部分は友人より優れてない」
といったような基準でしか友人を見れなくなってしまう。
このような状態が起きるのです。
このような状態の中に居続けると,他人よりも上にいることが安心であり,他人よりも下にいることが恐怖になります。
そして、劣等感に苛まれることになり永遠に対人関係の悩みが尽きないといったパターンに陥ることになってしまうのです。
ですが、この「競争意識」というのは、無意識上で持っている人が大半だったりします。
その原因は、学校など集団生活の中や、育ってきた家庭環境で、”他者と競争する中で成長を促す”といった教育の仕方が大きく関係してきていて、幼少期から ”競争すること” が、潜在意識に植え付けられてしまっているからとも言えます。
対人関係の悩みから解放されるには
すべての対人関係の悩みから解放されるには『承認欲求と競争意識は捨て、理想の自分を追求すること』です。
先ほども紹介したように他者に認められたいという「承認欲求」や、他人と自分とを比較して優位に立とうとする「競争意識」からは、”生きづらさ”しか生まれません。
それは本来の「幸せ」とはかけ離れているということをまず理解することです。
そして、そのような”承認欲求”や”競争意識”を自分の人生から取り除き、常に「自分」という軸に意識をおいて生きること。
つまり「自分軸」で生きることがとにかく大切です。
そして、世間や、親や周りの理想や求めているものになろうとしないことです。
世間や、親が勝手に決めた人物像になろうとするから苦しくなり、生きづらくなるのです。
人それぞれの理想や、在り方があって、それは百人いれば百通りあるもの。
「どんな自分で常にいられたら幸せなのか」「自分はどんな人たちに囲まれていたら幸せを感じられるのか」「今の自分はどうしたいのか」
『自分の理想とは一体何なのか』という「理想の自分探し」を追求してみてほしいのです。
他人の課題と自分の課題をしっかり見極め、切り離し、自分らしい人生を生きることができれば
他人から好かれようとしない、嫌われる勇気を持つことができ、他人と比較することで得られるナンバーワンとして生きるのではなく、オンリーワンという”あなたらしい楽な生き方”がきっと見つかるはずです。
これこそが、承認欲求と競争意識を捨てた生き方であり、真の幸せであることに違いありません。
でも、そう簡単に「理想の自分探し」はできることではありませんよね。
また、「そんなふうに生きられる自信がない・・」といった自分で行動することに抵抗を感じている人もいるのではないかと思います。
そんな方は、まず今の自分の状態を知り、不安に思っていることなど自己開示ができる相談相手が必要です。
そこで私がおすすめしたいのは、カウンセリングです。
カウンセリングで出来ることとは
カウンセラーは、これまで様々な対人関係の悩みに対して相談を受けてきたプロです。
そんなカウンセラーだからこそ、あなたの悩みに寄り添いながらも、あなたの状況を整理させ、あなたの課題、そしてこれからの生き方を一緒に見つけ出してくれます。
また、カウンセラーという客観的な立場の人と対話をしていくことにより、「理想の自分」という部分もだんだんと明確になっていくはずです。
対人関係の悩みがある方は、ぜひカウンセラーに相談してみることをおすすめします。
カウンセリングの案内
カウンセリングと聞くと、特定の人だけが受けられるもので、仕切が高いというイメージがあったりしませんか?
ですが、そのイメージは徐々に変わってきていて、様々な問題で悩む人が増えてきており、比例してカウンセリング自体も需要が広がってきていて、今は誰でも気軽に話せる場として多く活用されるようになってきました。
今はもう誰でも、カウンセリングを身近に受けられる。そんな時代に突入してきているのです。
「カウンセリングを受けるのが初めて・・」
という方でも安心して受けられるのが「悩みごとカフェ」。
ここでは、カフェにふらっと行くような気軽な感覚で相談することができます。
また「対面はちょっと・・」という方でも、LINE電話やビデオ通話、チャットという選択もあり、
直接会ったり、顔を出すことなくカウンセリングを受けることができます。
「それでもやっぱりカウンセリングを受けるのが、少し怖い・・」という方でも、10分間無料で受けられるサービスもあります。
まずはどういったものなのか体験することもできるので、カウンセリングがより身近に感じられ、安心して受けることができるでしょう。
最後に
私たちは、今もこれから先もずっと他人と共存して生きていきます。
他人と共存していると、ズレを起こしたり衝突したり、分かち合えあえなくて傷ついたりして、様々な問題や悩みが起きたりします。
それは、みんな一人一人違う生き物だから、しょうがないことです。
この世界には、自分と全く同じ容姿や、同じ価値観、同じ生き方の人など一人もいません。
だから、すべての人と、分かち合い理解し合うこと、仲良くすることなどできなくて当たり前なのです。
ですが、お互いの違いがあるからこそ、相手を知り、自分を知り、そこから学び合えることはたくさんあります。
そしてその学びからは必ず自身の成長があり、その先に、本当の意味での他人に対する”尊重”というものが生まれるのです。
でもここで覚えておいてほしいのが、”自分という存在を尊重している”からこそ、他人に対しても尊重することができるということ。
一人一人が ”自分を尊重し”、”オンリーワンな自分らしい人生”で生きられるようになれれば、対人関係の悩みはやがて消え、自分の居場所はいつも平和で安心に満ちたものになるのではないでしょうか。
この記事を読む方が、これから先 ”自分のことを最高の存在として受け入れ、自分らしい人生で生きていかれますように・・”